【コラム】ザナクロンは人を圧倒できる存在になり得るのか?
こんにちは。アデノ神です。
昨日はザナクロン戦でしたね。ランキング1,000位以上の方々、お疲れ様でした。個人的には、特に気になっていた芦澤佳純さんが惜しくも敗れてしまったのがとても残念でした…。小谷プロデューサーも何か考えていらっしゃるようではあったので、引き続いての登場を待つばかりです。
さて、今回は小話的にゼノンザードのアイデンティティともいえるAIのお話です。
Twitterのタイムラインを見ていたら、ザナクロン戦についてとある投稿を見かけました。そこではあえてペガサスのフォースのライフを1にすることでラケシスの使用を誘導、ピオンでフェニックスのフォースをレストさせています。こうすることで次のターン確実に勝ちを手に入れに行くという、絡め手をザナクロンが使用したというものでした。
(該当箇所は00:50程度から)
【動画:ストライオ・ザナクロン戦】
— Rusalka (@PhoenixoLiberty) 2020年6月13日
AIの進化を感じさせてくれる一戦だった!
試合を見返すとあえてフォースのライフを1にする事でラケシスを誘導させられた感じがする。
さらにピオンでフェニックスをレストすることで、ラケシスを出したら負け確という盤面を作った。 pic.twitter.com/NPz4W6pQCU
しかも、Rusalkaさん含む「ラケシス研究会」で、ラケシス使用前までの流れが全く同じようにプレイされた結果負けた方がいらっしゃったようです。
これを見て私は、「やっぱり進歩しているんだなぁ」とちょっと感動するとともに、「これから人間側はザナクロンに勝ち続けることはできるのだろうか?」と、ふと思いました。
もちろんカードゲームという遊び方の性質上、カードが引けるかどうかという運要素が強く絡んでくることはあります。ですが、お互いが最低限必要な手札を握り合い、ミニオンやフォースを取り合う拮抗したバトルが繰り広げられた場合、その先の読み合いやカードの使い方の練度は果たして同レベルであり続けられるのでしょうか?人は人である以上、何かを忘れたり、思い込んでしまうことはよくあります。それが、いくら慣れたデッキを使っていたとしてもです。
それを防ぐための例として、Youtuberとしても活動していらっしゃるかけじまさんは自身の動画で「ノートに自分のプレイをまとめる」といったことをしていらっしゃいました。そうすることで自らのミスを振り返り、間違いを少なくすることができるそうです。
《参考動画》
【ゼノンザード】十傑までの軌跡。〜目標達成のためにやったこと〜
ですが、これはあくまでランキング戦の話。もちろん、ランキングもAIと戦っていますが、今回はザナクロンはまた別のAIを使用していると仮定します。
今シーズンのザナクロン戦の挑戦権を獲得した人の総ポイント数はゲームのランキング一覧から4,530ポイント以上であることが分かっています。このことから、10日間開催されたseason6での勝率は、レジェンドランクかつAIアシスト無しと仮定した場合(つまり1戦130ポイント)、最低でも100戦中35勝以上が要求されます。
今度は逆に、ザナクロンの勝率を見てみましょう。公式の発表ではプレイヤー側の勝数は1000戦中288勝とのことでした。つまりザナクロンは712勝しているということです。
そして、このザナクロンの勝率を先程と同様にレジェンドランクかつAI補助なしでのランキングポイントに換算すると、9,230ポイントになります。この数値は今シーズンでは3位に当たるものとなります。やばいですよね。つまりプレイヤー側は実力が十傑の第三位と同等のAIと戦っていたこととなります。そしてその多くがザナクロンの超電磁砲で焼き焦がされたというわけです。
ちなみにこの勝率は過去最低で、過去最も勝率が高かったのはseason3の842勝です。
(もちろん、用事などで参加できなかった人がいるためにザナクロンの勝率が上がってしまうことは考えられます)
では、ザナクロンはAIとしてこれからも人々を圧倒できる存在になり続けられるのでしょうか?ここで興味深い例を挙げておきます。
TCGとしては世界的に有名な「Magic: The Gathering」(以下MTG)についてある論文が執筆されたことがあります。それはMTGが世界で最も複雑なゲームであるというものです。この論文では、MTGは勝利戦略の決定が計算不可能なゲームが存在することを証明する最初の結果、というふうにまとめられていました。
《参考記事》
『マジック・ザ・ギャザリング』は「現在もっとも複雑なゲームのひとつである」という研究論文が公開。アルゴリズムが最善手を計算できない場面も
ただ、この実験で用いられたフォーマットは初期からのほぼすべてのカードが使用できるレガシーというもので、ゼノンザードと比較すれば莫大なカードプールにおいて検証されたものとなっています。逆に言えば、カードが順調に増え続け、最新から数弾前までのカードしか使用できないようなリミテッドレギュレーション等が始まらない限り、ザナクロンは確実な勝利を得にくくなっていくということになります。
結論としては、ザナクロンは絶対王者としてあり続けられない、というものになります。「カードプールが増えるんやから、そんなもん分かっとるわいや」という声も聞こえる気がしますが、実際に数字やほかからの研究を交えるとわかりやすく伝えられたかな、と思っています。
これからもこういった記事が出るかはわかりませんが、気になったことを軽くまとめたいときは上げようかな、と考えています。
今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
《協力いただいた方》
・Rusalka さん
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・かけじま さん
Twitter:https://twitter.com/kakejima_12
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCLlx_RwNpWGkwHsDJclqmMg
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